ハッピークライシス
「…で、彼女を使って何か分かったのか。フィリップ=フェデリコがロマッリオを殺すことが出来る秘密とやらの」
話が始まった時点でバーテンダーは姿を消しており、この部屋にはシンシアとユエしかいない。暫しの無言。シンシアは、その問いに対し露骨に機嫌を損ねたようだ。
カウンターに置かれたヘネシーボトルを手に取り、自身のグラスとユエのグラスそれぞれに、並々と酒を注ぎ足す。
折角の良い酒なのに、もはや彼にとってはただ酔いたいが為の道具にすぎないのだ。ユエはそう思いながら、何も言わずにそれに口をつけた。