ハッピークライシス


「セオ!!!」



まじまじと彼を見る。
どうしたことだ。400万ドルという金を、"メテオラの乙女"と引き換えに持ち帰るはずが、彼は全くの手ぶらじゃないか。


「…どういうことですか!」



思わず、セオの胸倉を掴みあげる。
すると事もあろうに、セオはシンシアを払いのけようともがくのだ。


「何をする!……て、こんなところで何をしているんだ、シンシア」

「…は?あなたこそ何があったんだ。取引は完了したはずなのに、なぜ手ぶらで」

「取引?何のことだい。私は、ただ世話になっている方に会いに、このホテルへ来ただけだ。お前こそこんな場所で誰かを待っているのか?」


まったく噛み合わない会話に、シンシアは目を丸くする。

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