ハッピークライシス



ぽつりと呟いたユエに、シンシアは目を見開いた。


「…もし、あの子供にそんな"不思議な能力"が備わっているのだとすれば」

「ユエ、」


息を呑んで隣の男を見れば、ユエは同じようにシンシアを振り返り笑みを深める。
年代モノのアンティークランプに照らされたユエ=ハネンフースは、背筋をゾクリとさせるほど美しかった。その深い海色の瞳には、確かな欲望が浮かんでいる。


"青薔薇"



「駄目だ。もし本当に"アレ"が記憶を消すというのなら、俺達は彼女を消さなければならない。レヴェンの意思として。お前に渡すワケにはいかない」

「ならば、無理矢理にでも奪うまでだ」
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