ハッピークライシス
「"同じ症状"か、お前と。それが確認したい」
「……、そうだな。俺は、リサ=フェデリコという人間の記憶がない。知っていたはずなのに。どうしてそうなったかは、何も分からないが」
「今の映像を見て、何も思い出さないか。あの"少女"について」
「残念ながら」
ユエは、涼しげな顔に小さく笑みを浮かべながら言った。
「フェデリコは、コレクションだといっていたな。あの子供」
「…あァ」
「間違いなく、血の繋がりはない。あの取引、社交辞令の途中で、少女が現れてから一気に空気が変わった。どういうカラクリがあるかは知らないが、この子供が何かをセオ=カルタに施したと考えていいだろう。それこそ、フェデリコの秘密に通じる」
「記憶を奪い、自分の欲しいものを手に入れる。マッシモのときも同様に。おそらく、取引がスムーズに行かない何かがあったに違いない。だから消した。まさかそれが、レヴェンのカポとは知らずにな」
「興味がある」