執事ちゃんの恋
「ヒヨリも黙っていないで助けなさい!」
「えっと……」
「縁談ぶち壊す手伝いをしたのは、ほかでもない私よ? 少しは恩を感じなさいよ」
「も、もちろんです。コウさまには恩を感じております」
慌てて言い繕うヒヨリに、コウは半泣きで助けを求めた。
「なら、助けろー」
「あ、相手が悪うございます……」
視線を少し外し、コウから視線を逸らすヒヨリを見て、フフッと軽やかに笑う健だが、その奥に秘めた黒いオーラを感じ、三人とも大きくため息を零した。
少しだけ冷静さを取り戻したコウは、話を切り替えた。
「まぁ、私の婚姻うんぬんは置いておいて」
「置いておくのですか?」
「置いておくの! 私はまだ高校生。今後については、これからなんとでもなる。ヒナタなんかより、いい男見つけてくればいいんでしょ? 楽勝よ」
フフンと自信満々に胸を反らすコウに、ヒナタは黒い笑みを浮かべた。
「お言葉ですが、コウさま。私より容姿と頭がいいとなると、そうとうなスペックの持ち主でないと」
「ぬー! そうやって自分でいうところが気に入らない」
「本当のことでしょう」
キィィと歯ぎしりをしてヒナタを睨みつけたあと、コウはツンとそっぽを向いた。
「っ! でも、ヒナタより性格のいい男なら五万といるわ。大丈夫、私は絶対にステキな旦那さまをみつけることができる」
「それは頼もしい。ぜひ、がんばっていただきたい」
「なんでそんなに上から目線!?」
「文月次期当主さまの命令は、霧島にとっては絶対でございます。となれば、コウさまとの婚姻を跳ねのたいのなら、コウさまに頑張っていただくほかないでしょう」
シレッと無表情で言い切るヒナタに、コウはなすすべがなく、ただ怒りまくるしか方法がなかった。