この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 利勝さまも立ち上がり、おじいさんに向けて軽く頭を下げると、私を振り返って手を差し伸べてくれた。



 「ほら。陽が暮れないうちに帰るぞ。足が痛むだろうが、立てるか?」



 ………利勝さま。



 ご友人がたが見ておられるのに、かまわず私に、何度も声をかけてくれる。



 ご自分が明日、厳しいお立場になるとわかってて。



 それがつらくて。



 「……私なんか、もう放っておいてください!でないと明日、罰を受けてしまいます!!」



 たまらずそう叫ぶと、
 利勝さまの大きな瞳が、さらに大きく見開かれて―――。



 「ばかやろう!!! 無念なんか、あとでいくらでも立ててやる!!!」



 そう、怒鳴られた。―――怒鳴られたのに。

 私の心は あたたかいものに満たされていく。
 甘いものに胸が締めつけられる。



 「余計な心配なんかするな!! 今はお前のほうが、よっぽど大変だろうが!!」



 ひどく腹を立てた様子で、私を叱ってくれる。

 次から次へと溢れてくる涙が、やけに温かく感じた。



 ――――ああ。どうして。どうしてこの人は。

 いつも泣きたくてたまらない時に

 私を助けようとしてくれるの………?




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