この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 その夜。私は、兄さまのお部屋へと向かう。


 障子を開け放したお部屋を覗くと、行灯(あんどん)の明かりに灯されたなか、寝間着姿の兄さまが文机に向かい筆をとっておられるのが見えた。


 初めて見聞きし経験したことを綴っておられるのか、それとも戦地におられるお父上さまに、初陣のご報告のお手紙でもしたためていなさるのか。


 気配に気づいた兄さまは、振り向いて私を認めると、途端に眉をひそめた。



 「……ゆき。お前、何してるんだ?」



 無理もない。

 だって私は、自分の布団を抱えて兄さまのお部屋を訪ねているんだもの。

 すでに用意されていた兄さまの布団のとなりに、よいせ、と自分の布団を下ろして、私はにっこり笑顔を見せた。



 「はい!今宵は兄さまのとなりで休ませていただこうと思いまして!」

 「な……っ!!」



 それを聞いた兄さまは、弾かれたようにあわてた。


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