この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「ばっ……!馬鹿を申すな!! 男女の別をわきまえろ!!」
ありえない申し出に、兄さまは狼狽なさっているのか、お顔を赤らめて叱る。
「はい……それは重々承知しております。ですが、兄さまが居られなくて、私とても淋しかったんですもの。
お父上さまも連日泊まられてご不在だったうえに、あわただしくご出陣されて。
家に殿方が居られないことが、こんなに不安なものとは、私……思いもよりませんでした」
と、わざと眉をハの字にして、悲しい顔を見せる。
「それは……すまぬことをした」
ご自分がいないあいだ、私と母さまが心細い思いをしていたとわかり、当惑しながらも兄さまは申し訳なさそうに眉を緩める。
情にほだされたところを、もう一声。
「今晩だけで構いません。今まで不安だった分、今夜だけ兄さまに甘えさせてください。ねっ、兄さまお願い!」
胸の前で手を合わせ、上目使いに見上げると、「うっ」と 言葉に詰まった兄さまは、赤く染まったお顔をそらして苦々しくおっしゃった。
「〜〜っ!……勝手にしろっ!! あとで継母上に叱られても、俺は知らないからな!!」
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