この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜




 ――――『会津魂』。



 それは今までに叩き込まれてきた、厳しい教育と環境の中で培われた精神。



 『ならぬことはなりませぬ』。



 その掟をひたむきに守り続けてきた兄さま達にとって、道理にかなわない薩長の利己的な武力行使が許せないのだろう。



 「俺は自分達が今まで貫き通してきたものを、奴らに見せつけたい。
 “ここに武士(もののふ)の魂ありき”と、薩長の奴らに知らしめてやれればそれでいい」



 力強い口調は、兄さまの決意の固さ。



 武士の覚悟というものは、かくも揺るぎないものなのですね………。





 「……それをお伺いできて、ゆきも胸を張って送り出す覚悟ができました。
 いつ出陣命令が下されても、ゆきはもう泣いたりいたしません」



 精一杯の笑顔を見せると、兄さまは近づき、私の肩に手を置いた。



 「……それと、お前とお継母上が無事ならそれでいい」

 「兄さま……」



 そうおっしゃった兄さまの瞳は、穏やかな中にひとかけらの淋しさが滲んでいるように見えた。


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