この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
私もその瞳を見つめ返す。
けれどなぜか、そのまっすぐな眼差しを受け止めるのがつらい。
「そ……それはやはり、忠義のためですか……?」
すくんで弱気になる私を見つめたまま、兄さまはふっと視線を和らげた。
「もちろん忠義もそうだ。だが それだけじゃない。
俺は、自分の心にある正義のために戦いたい」
『正義』……。
兄さまは閉め忘れた障子のあいだから庭を見遣った。
残暑はまだ残っているけれど、そこから吹き込んでくる風はもう秋のものに変わっていた。
「今や我が会津藩は、孤立無援の厳しい状況に置かれている。
だが我らの主君は、何も悪いことをしておられない。
藩を存亡の危機にさらすこともいとわず、誠心誠意をもって、朝廷と幕府に忠義を尽くしてきただけだ」
兄さまはそうおっしゃいながら障子の近くまで行き、そこに佇む。
私は黙って、その背中を見つめた。
「己の私利私恨のために戦を仕掛けてきたのは薩長のほうだ。
たとえ賊軍の汚名を着させられようと、理不尽な相手にはあくまでも戦う。
我ら会津武士は、保身のために恭順を示す諸藩とは違い、最後の一兵まで敵に屈したりはしない。
それが俺達の正義。それが俺達の会津魂だ」
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