この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
俺が運ぶことに苦戦していると、それを見つめながら、苦しそうな息の下で雄治がつぶやく。
「すまん……八十。俺は置いてゆけ。でないとお前までやられる」
その言葉が、無性にくやしかった。
「馬鹿やろう!! あきらめるな!! さっきまでの威勢はどうしたんだよ!?
それに死ぬ時は一緒だ!! 約束しただろう!?」
もう、泣きそうだった。
たまらず叫んだ俺の視界に、敵兵とのあいだを立ちはだかるようにして誰かが駆け込んでくる。
「―――八十治!! 雄治を連れて早く行けっ!!」
野村どのと、簗瀬どのだ。
野村どのは、山内さまから借りたままだったスペンサー銃を撃ちまくり、相手の勢いを削ごうとする。
「ここは駒四郎に任せよう!行くぞ 八十治!」
一緒に駆けてきた簗瀬どのは、銃を一発撃ったあと、そう言って手を貸してくれた。
俺と簗瀬どのは両脇から雄治を抱えて、急いでその場を離れる。
俺達のあとを野村どのも足早に引き返してきた。
「―――ようし!皆 引くぞ!!」
それを確認した篠田どのが、残って応戦してくれていた仲間に退却の指示を出す。
俺達はまた山の奥へ戻らざるを得なかった。
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