この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 だから私は 機会を待った。


 ほとぼりがさめて、また外出を許してもらえるようになるまで。


 そして、あの日から十日ほど経った頃の午後。


 一緒にお針仕事をしていたおりに、母さまのご機嫌を伺いつつ、私はもう一度、外に出てもいいかお願いしてみた。



 「母さま。……私、もう一度、外に出てみたいんです」



 私の言葉に、母さまは驚いた表情をこちらに向けた。



 驚くのも頷ける。



 だって私は あの日以来、ひとりで外出したことを悔やんで、ひどく塞ぎ込んでいたのに、それが急に手のひらを返したようなお願いをするのだから。



 「けれど、お前……」


 「母さま お願いです。このまま一生、外に出ない訳にはいかないでしょう?
 外に出て困ったことがあったら、ちゃんと誰かに助けを求めます!それに夕暮れまでには必ず戻ります!

 だから……どうかお願い!私を信じて?」



 母さまの目をまっすぐ見つめて、私は懇願する。


 思い詰めたような娘の表情に困惑しながらも、しばらく考えていた母さまは、ため息をひとつついたあと、優しく目尻を下げておっしゃった。




 .
< 45 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop