この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 引き止めようと伸ばした私の手を、ご婦人が制するようにやんわりと握った。



 「大丈夫よ。あの子はここらへんに詳しいの。家もそう遠くはないのよ」



 私を安心させるように、にっこりと微笑む。



 「ですが……!」

 「いいのよ」



 畏縮する私を気にせず、さっきの女の子がしてくれたように、ご婦人は目の前でかがみ込んだ。

 それから袖口から手ぬぐいを取り出すと、それを細く裂いて、傷だらけの左の足指に巻いてくれた。



 「……ありがとうございます」


 お礼を述べると、笑顔で返してくれる。
 目元があの女の子とよく似ていた。



 「あなたの足では、草鞋(わらじ)のほうが良かったかもしれないわね。
 ほら、草鞋の紐を足首に縛りつけておけば、擦れて傷つくこともないでしょう?」



 手ぬぐいを巻いた時に、足が動かないのに気づいたのか、萎縮して丸まる足指にそれと察したのか、ご婦人はそうおっしゃる。

 器用に手拭いを足指に巻きつけ終わると、ご婦人に尋ねられた。



 「ここへは誰と来たの?」

 「……ひとりです。道に迷ってしまって……」

 「まあ、そう。それではきっと、親御さんは心配なさるわね」



 ………それを言われると、なんだか叱られたような気がして、私はしょんぼりとうなだれた。


 .
< 55 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop