魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ルゥはラスが居なくなったことを理解している風だった。
コハクから片時も離れず、少し離れただけで泣いてしまう――
元々器用なコハクはルゥの世話を完璧にこなしながらしらみつぶしに各国を回り、どんな小さな村でも見逃さずに歩き回り、そしてカイからの手紙を毎日のように受け取っていた。
「ちっ、うっせえな…」
リロイとティアラの協力は嬉しかったが――各国に通達された手紙のせいで、ラスが現在グリーンリバーに居ないことをカイに知られてしまった。
一羽の真っ白な鳥を使役して連絡用にと頻繁にやり取りしていたため、“どうなっているんだ”と矢の催促だ。
「俺だってどうなってるか知りてえっつーの」
あれからデスやグラースからは何の報告もない。
1週間以上が過ぎてしまい、最大限精神集中して千里眼を使ってもラスの姿が見えないのだ。
じわじわと不安が競り上がってきて、身体の奥底に潜んでいた暗いもの――何かが倦んでいるような恐ろしいものが滲み出てきているのが自分でもよくわかる。
ラスが居なければもう、まともではいられないのだ。
「今日はここにするか…。ルゥ、ちょっと寝てろよ。すぐ帰ってくっからさ」
「あぷ」
中規模の村に着いたコハクは宿屋に泊まると、ルゥをベッドに寝かしつけてそう声をかけたが…ルゥは目をぱっちり冴えさせて寝るまいという姿勢を見せた。
コハクは仕方なくいつものようにルゥの額に手をあてて魔法をかけると、吸い込まれるように寝てしまった。
「…チビ…どこに居るんだ…」
――コハクは恐ろしく目立つ男だ。
瞳の色が赤いせいもあるが、中規模の村といっても片田舎に過ぎず、無駄に綺麗に整った顔の男が現れたとあっては、村の女たちははしゃぎまくってコハクの視界に入るようにと集まって来ていた。
だがもう、ラスを深く愛してしまっているコハクには――ラス以外の女はただの木偶の人形に過ぎない。
「酒場はあるのか?」
熱い眼差しを注いできていたそれなりに綺麗で若い女に声をかけると、女はすぐさまコハクにまとわりついて腕に絡み付いて豊満な胸を押し付けた。
「あるわよ、案内してあげる」
「俺に触んな」
「ちょっとくらいいいじゃない」
声は冷え冷えしていたが、浮かれた女は気付かない。
コハクの心は、ラスにしか動かすことができない。
コハクから片時も離れず、少し離れただけで泣いてしまう――
元々器用なコハクはルゥの世話を完璧にこなしながらしらみつぶしに各国を回り、どんな小さな村でも見逃さずに歩き回り、そしてカイからの手紙を毎日のように受け取っていた。
「ちっ、うっせえな…」
リロイとティアラの協力は嬉しかったが――各国に通達された手紙のせいで、ラスが現在グリーンリバーに居ないことをカイに知られてしまった。
一羽の真っ白な鳥を使役して連絡用にと頻繁にやり取りしていたため、“どうなっているんだ”と矢の催促だ。
「俺だってどうなってるか知りてえっつーの」
あれからデスやグラースからは何の報告もない。
1週間以上が過ぎてしまい、最大限精神集中して千里眼を使ってもラスの姿が見えないのだ。
じわじわと不安が競り上がってきて、身体の奥底に潜んでいた暗いもの――何かが倦んでいるような恐ろしいものが滲み出てきているのが自分でもよくわかる。
ラスが居なければもう、まともではいられないのだ。
「今日はここにするか…。ルゥ、ちょっと寝てろよ。すぐ帰ってくっからさ」
「あぷ」
中規模の村に着いたコハクは宿屋に泊まると、ルゥをベッドに寝かしつけてそう声をかけたが…ルゥは目をぱっちり冴えさせて寝るまいという姿勢を見せた。
コハクは仕方なくいつものようにルゥの額に手をあてて魔法をかけると、吸い込まれるように寝てしまった。
「…チビ…どこに居るんだ…」
――コハクは恐ろしく目立つ男だ。
瞳の色が赤いせいもあるが、中規模の村といっても片田舎に過ぎず、無駄に綺麗に整った顔の男が現れたとあっては、村の女たちははしゃぎまくってコハクの視界に入るようにと集まって来ていた。
だがもう、ラスを深く愛してしまっているコハクには――ラス以外の女はただの木偶の人形に過ぎない。
「酒場はあるのか?」
熱い眼差しを注いできていたそれなりに綺麗で若い女に声をかけると、女はすぐさまコハクにまとわりついて腕に絡み付いて豊満な胸を押し付けた。
「あるわよ、案内してあげる」
「俺に触んな」
「ちょっとくらいいいじゃない」
声は冷え冷えしていたが、浮かれた女は気付かない。
コハクの心は、ラスにしか動かすことができない。