魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
レベルの高い魔物や悪魔は簡単に地上に出てくる。

そのうちの大半は人間を食いに来たり、暇潰しに現れるのだが――中には明確な目的を持って現れる者も多い。


今回ゼブルがそれだった。

1番してはいけないことをしでかして、コハクの逆鱗を買った悪魔。


「あなたは何を計画しているのですか?どうなさるおつもりで?」


「しー。チビがこっち見てるから笑顔作れ。この計画に気づかれたら絶対反対されるからな」


動物の集団に囲まれたラスがじっとこちらを見ていることに気付いたコハクは彼らに作り笑顔を要求して、さも談笑してますと言わんばかりににこにこした。

まさか悪巧みをしているとは夢にも思っていないラスは、走り回るルゥを追いかけてコハクを観察するどころではない。


「よし、行ったな。俺の計画は…」


コハクはそこで言葉を切り、膝が触れあいそうな距離に座っているデスとオーディンの肩をぽんと叩くと、作り笑顔ではない最高の笑顔を見せた。


「魔界に大きな結界を張る。俺ひとりじゃ無理だから、オーディンとデスに協力してもらうからな」


「それは構いませんが…しかしそれでは抵抗勢力が生まれて反乱が起きるのでは」


「あいつらは集団になったり共闘したりする奴らじゃねえ。それに人間なんか食わなくても生きれるんだから、地上に出てくる必要はねえ。だから…閉じ込める」



一瞬絶句した後オーディンがそう諭したが、コハクは頑として考えを改める気はなく、上体を倒してさらにぐっと顔を近付ける。


「オーディンにチビを攫われた時、集めるだけでほとんど読んでなかった禁書を何冊も読み漁った。で、俺は最強の結界を見つけ出したんだ。後でお前らにも見てもらう」


「コハク…あなたはそこまでしてラス王女を守りたいのね」


話には参加できても協力はできないローズマリーが絞り出すように言うと、コハクは肩を竦めて再び木にもたれ掛る。


「当然だろ。チビは俺の嫁さんで、天使ちゃんで、女神ちゃんなんだからな」


「ドラちゃん、ルゥちゃんが口の中に居るから閉じちゃ駄目だよ」


深刻な話をしているコハクたちをよそに呑気なラスの笑い声が聞こえた。

デスはコハクと目が合った時にこくんと頷いて同意を示した後、ラスの元に向かう。


オーディンもデスも力なら有り余るほど持っている。

魔界を消滅させることができるほどに――
< 173 / 286 >

この作品をシェア

pagetop