魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
その日は夜遅くまでオーディンとローズマリーを交えてお酒を飲み、少しだけならと果実酒を飲むことを許されたラスは、ルゥにオレンジジュースを飲ませながらにこにこが止まらなかった。


「ルゥちゃん沢山抱っこしてもらえてよかったね。でももう眠たそうだし、寝んねしよっか」


「ああいいって俺が寝せてくる。ルゥ、よく寝て大きくなれよー」


大きな欠伸をしたルゥを抱っこしてベビーベッドに寝せると、コハクのパパっぷりにオーディンが頬を緩めてソファの背もたれに身体を預けた。


「まさかあなたがこんなに子煩悩になるなんて」


「そっかあ?俺は予感あったけど。家族持つんならチビとって決めてたし、チビ似の女の子が産まれたらそりゃもう……ふふふふ」


不気味な笑い声を漏らすコハクを完全無視したラスは、隣で雛鳥のように口を開けているデスの口にチーズを放り込むと、デスのように膝を抱えて座る。


「ねえコー、明日みんなでどこかに出かけるんでしょ?私はお留守番なの?」


「ああ、チビは腹ん中に子供が居るし、留守番な。すぐ帰って来るからさ、この部屋から絶対出るなよ。わかったか?」


「うん、わかった」


こくんと頷いたラスを膝に乗せてソファに座ったコハクは、結構なスピードで酒を飲んでいる正面のローズマリーに笑いかけた。


「お師匠、チビをよろしく頼むな。ドラも置いてくし、明日は小僧たちも来る予定だし」


「旅の仲間が揃うのね。いいわ、任せておいて」


コハクがラスの背中を撫でてやっているうちにうつらうつらとして眠ってしまい、ラスの頬にちゅっとキスをしたコハクはベッドに運んで行って首までしっかり布団を着せた。

そうしながら、もう2度と同じ目に遭わせないように、ぱちんと指を鳴らして自分自身の影から禁書を取り出してテーブルに広げた。


「失敗なんざ絶対しねえ。オーディン、デス…お前らには迷惑かけるけど、頼む」


「あなたに協力を請われることなど滅多にありませんし、喜んで手を貸しましょう」


「………うん」


コハクが子供のように嬉しそうに笑った。

ローズマリーはその笑顔を懐かしみ、独り占めしていたかつての日々が頭をよぎって小さな小さなため息をついた。
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