魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
コハクが立ち上がっただけで皆が息を呑んでコハクを見つめる。
圧倒的なカリスマの持ち主――オーディンは崇拝するコハクのためにデスと共に彼らを注視して隙を作らない。
コハクが掌を床に翳して小さな声でルーン語を唱える。
一瞬だけ無防備になる瞬間なので、このタイミングで襲いかかられると無傷では済まなかったかもしれない。
だがコハクは…襲われることはなかった。
オーディンとデスがコハクの両脇を固めていたからだ。
床には小さな魔法陣が浮かび、そこに描かれた複雑な文字が赤く浮かび上がって回転した。
中心から浮かび上がってきたのは、白銀に光るシェリーグラスだ。
「これはなあ、プラチナのシェリーグラスだ。いわくつきのグラスでかつてレアもんを集めてた時に手に入れた。これに注いだものを飲んで願いを唱えると必ず叶うって言われてる」
オーディンが白いローブの下からシャンパンの入ったボトルをにゅっと出して、コハクが差し出したシェリーグラスにシャンパンを注ぐ。
コハクがぱちんと指を鳴らすとシェリーグラスがふわりと浮かび、彼らを止められずにいる悪魔たちは閉じ込める宣言を受けて次々に声を上げ始めた。
「そんな!我々があなたに何をしたというのですか!」
「なんにもしてねえよな。お前らに罪はねえ。けど一部の連中は今後も俺を追いかけ回したり、俺の大事なものを奪おうとするかもしれねえ。…殺しゃしねえよ、閉じ込めるだけっつってんだろ」
まばゆい光を発するシェリーグラス――もとい聖杯を前にオーディンとデスにコハクが目配せをすると、彼らは親指を少し噛み切って流れ出す血を聖杯にぽたりと落とした。
そしてコハクも親指を噛み切って血を一滴落とすと、聖杯が爆発したかのように真っ白な光を生み出して部屋全体を浄化するかのような神聖な光で満たす。
「俺は失敗しねえ。願いを叶える聖杯と、失敗しねえ俺の魔法が合わさったら…どうなる?オーディン、答えろ」
「あなたの願いによっては神をも超越する力を手に入れるかもしれない」
「だな。けど俺はそんなの望んでねえ。俺が望むのは…お前らが2度と地上に出て来ないこと。また何らかの方法で地上に出られたとしても、これを今から飲む俺たち3人全員を殺さなければ今から張る結界は完全になくなることはねえ」
そう願いをかけて、忘れ去られた言語の言葉をひとつ呟いたコハクは聖杯を満たしている血液入りのシャンパンを飲み干した。
圧倒的なカリスマの持ち主――オーディンは崇拝するコハクのためにデスと共に彼らを注視して隙を作らない。
コハクが掌を床に翳して小さな声でルーン語を唱える。
一瞬だけ無防備になる瞬間なので、このタイミングで襲いかかられると無傷では済まなかったかもしれない。
だがコハクは…襲われることはなかった。
オーディンとデスがコハクの両脇を固めていたからだ。
床には小さな魔法陣が浮かび、そこに描かれた複雑な文字が赤く浮かび上がって回転した。
中心から浮かび上がってきたのは、白銀に光るシェリーグラスだ。
「これはなあ、プラチナのシェリーグラスだ。いわくつきのグラスでかつてレアもんを集めてた時に手に入れた。これに注いだものを飲んで願いを唱えると必ず叶うって言われてる」
オーディンが白いローブの下からシャンパンの入ったボトルをにゅっと出して、コハクが差し出したシェリーグラスにシャンパンを注ぐ。
コハクがぱちんと指を鳴らすとシェリーグラスがふわりと浮かび、彼らを止められずにいる悪魔たちは閉じ込める宣言を受けて次々に声を上げ始めた。
「そんな!我々があなたに何をしたというのですか!」
「なんにもしてねえよな。お前らに罪はねえ。けど一部の連中は今後も俺を追いかけ回したり、俺の大事なものを奪おうとするかもしれねえ。…殺しゃしねえよ、閉じ込めるだけっつってんだろ」
まばゆい光を発するシェリーグラス――もとい聖杯を前にオーディンとデスにコハクが目配せをすると、彼らは親指を少し噛み切って流れ出す血を聖杯にぽたりと落とした。
そしてコハクも親指を噛み切って血を一滴落とすと、聖杯が爆発したかのように真っ白な光を生み出して部屋全体を浄化するかのような神聖な光で満たす。
「俺は失敗しねえ。願いを叶える聖杯と、失敗しねえ俺の魔法が合わさったら…どうなる?オーディン、答えろ」
「あなたの願いによっては神をも超越する力を手に入れるかもしれない」
「だな。けど俺はそんなの望んでねえ。俺が望むのは…お前らが2度と地上に出て来ないこと。また何らかの方法で地上に出られたとしても、これを今から飲む俺たち3人全員を殺さなければ今から張る結界は完全になくなることはねえ」
そう願いをかけて、忘れ去られた言語の言葉をひとつ呟いたコハクは聖杯を満たしている血液入りのシャンパンを飲み干した。