魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ティアラと手を繋いで階段を降りて1階の庭に出るなり、動物たちが寄ってたかってラスの回りに集まった。


「お嬢さん!今日は何をして遊ぼうか」


「僕たちと一緒に昼寝をしようよ!」


「今からティアラと日向ぼっこしながらお話をするの。一緒に日向ぼっこしよ」


ラスは動物たちと普通に話をしているが、ティアラは彼らがぴいぴいきゅうきゅう鳴いているようにしか聞こえない。

普通ならばそれはおかしいことだが、ラスの左手薬指にはそれを可能にする不思議なリングが嵌まっているし、それを不思議に思わないティアラはふかふかの真っ白なウサギを抱っこして膝に乗せて芝生の上に座った。


「赤ちゃんかあ。私はもう2人目だけど…」


「だって相手が魔王だもの。あなたもしかしたら毎年赤ちゃんを産むんじゃないかしら」


「え、そう思う?そうだったらいいなー、今は違うけど私一人っ子だったから、兄弟は多い方が楽しいもんね」


ラスは皮肉を言うような人間ではないので、歪曲した捉え方をしなかったティアラはため息をついてうっとりしているウサギの耳を撫でる。


「リロイは…毎日忙しくしているから、最近すれ違いが多いの。私も手伝えることは手伝っているのだけど、この前なんて1日のうちに会えたのは深夜だけだったこともあるのよ」


「リロイは真面目だもんね。国がちゃんと機能するまでは赤ちゃんは作らないって思ってるかもしれないけど…新婚さんのうちは一緒に居なきゃ。私からリロイに言ってみるよ?」


「いいえ…ありがとう、でも遠慮しておくわ。気を遣わせるだけだし、子供が欲しいって強く思っていると逆にできないことが多いってよく聞くから」


話している間にもラスの回りにはわらわら動物たちが寄ってきてしきりに鳴いて何かを話しかけている。

ラスはといえば天然だしぽやっとしているのでにこにこして彼らの話を聞いているだけなのだが、彼らはそれはそれで満足しているようでラスにべったりくっついている。


そしてラスに話を聞いてもらっているだけで心がすっとしたティアラは、ラスの膝にウサギを乗せて大きく伸びをした。


「この際リロイを襲ってやろうかしら」


「うん、それいいね。私も時々コーを襲うけど、すっごく喜んでくれるよ」


冗談も言えるようになって旦那をネタに話に花を咲かせた2人は、旅をしていた時のようにきゃっきゃと騒いで芝生を転がり回った。
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