魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「よいしょお」
気の抜けた掛け声と共に、ラスの影の中から絨毯を取り出したコハクが草の上にそれを広げる。
その光景も数年前旅をしていた時は恒例の光景だったので、リロイたちはそれを懐かしんでありがたくふかふかの絨毯の上に座った。
「ルゥちゃん嬉しそう。みんなと旅をするのははじめてだもんね」
「きゃーぅっ!」
歓声を上げて手を振り上げて何かを掴もうとする動作を頻繁にするルゥを膝に乗せたラスは、きょとんとしているリロイたちにそれを説明した。
「ルゥちゃんね、回りに飛んでる妖精さんたちが見えるの。私もこのリングのおかげで見えるんだけど、リロイたちも見てみる?」
「いや、僕たちはいいよありがとう。でもさすが魔王の子供というか…。まさか魔法使いにするつもりなのか?」
問われたコハクは野菜を挟んだサンドウィッチを頬張りながら同時にルゥの口に千切ったパンを食べさせてやりつつ首を振った。
「や、強要はしねえし。素質があるのはそうなんだろうけど魔法使いは嫌われるしさ」
「ルゥちゃんなら何だってなれるよ。きっとコーやリロイみたいな立派な勇者様になるに決まってるんだから」
ふんわりした空気がその場を包み込む。
にこにこしているラスが心からの本心で言っているのは間違いなく、ラス大好き同盟の一員であるコハクとリロイが揃って頬を緩める。
その間に誰よりも忙しなく手が動いていたデスにサンドウィッチがほぼ食い尽くされてしまい、コハクが抗議しようとした時――ラス以外の全員が東の森の奥に視線を遣った。
「?みんな…どうしたの?」
「何か来た。ラスは魔王の傍に居て」
「ふざけんなてめえ。チビも庇いつつ俺がぶっ倒すんだからな。お前は隅で縮まってめそめそしてろ!」
ラスとグラースは妊娠しているため、彼女たちを庇いながら戦闘しなくてはならない不利な状況であるのに、コハクとリロイは不敵に笑んでいた。
「魔王、どうだ?強そうなのか?」
「数が多いだけの群れだ。ほらお前も剣抜けよ。ひと暴れすっぞ~、デスお前はチビたちを守っとけよ」
「………わかった…」
身体が鈍っていると感じていた2人が肩を並べて立ち、リロイは腰に下げていた剣を抜き、コハクは胸の中に手を突っ込んで真っ黒な長剣を取り出す。
ラスたちにかっこいいところを見せようと奮起していた。
気の抜けた掛け声と共に、ラスの影の中から絨毯を取り出したコハクが草の上にそれを広げる。
その光景も数年前旅をしていた時は恒例の光景だったので、リロイたちはそれを懐かしんでありがたくふかふかの絨毯の上に座った。
「ルゥちゃん嬉しそう。みんなと旅をするのははじめてだもんね」
「きゃーぅっ!」
歓声を上げて手を振り上げて何かを掴もうとする動作を頻繁にするルゥを膝に乗せたラスは、きょとんとしているリロイたちにそれを説明した。
「ルゥちゃんね、回りに飛んでる妖精さんたちが見えるの。私もこのリングのおかげで見えるんだけど、リロイたちも見てみる?」
「いや、僕たちはいいよありがとう。でもさすが魔王の子供というか…。まさか魔法使いにするつもりなのか?」
問われたコハクは野菜を挟んだサンドウィッチを頬張りながら同時にルゥの口に千切ったパンを食べさせてやりつつ首を振った。
「や、強要はしねえし。素質があるのはそうなんだろうけど魔法使いは嫌われるしさ」
「ルゥちゃんなら何だってなれるよ。きっとコーやリロイみたいな立派な勇者様になるに決まってるんだから」
ふんわりした空気がその場を包み込む。
にこにこしているラスが心からの本心で言っているのは間違いなく、ラス大好き同盟の一員であるコハクとリロイが揃って頬を緩める。
その間に誰よりも忙しなく手が動いていたデスにサンドウィッチがほぼ食い尽くされてしまい、コハクが抗議しようとした時――ラス以外の全員が東の森の奥に視線を遣った。
「?みんな…どうしたの?」
「何か来た。ラスは魔王の傍に居て」
「ふざけんなてめえ。チビも庇いつつ俺がぶっ倒すんだからな。お前は隅で縮まってめそめそしてろ!」
ラスとグラースは妊娠しているため、彼女たちを庇いながら戦闘しなくてはならない不利な状況であるのに、コハクとリロイは不敵に笑んでいた。
「魔王、どうだ?強そうなのか?」
「数が多いだけの群れだ。ほらお前も剣抜けよ。ひと暴れすっぞ~、デスお前はチビたちを守っとけよ」
「………わかった…」
身体が鈍っていると感じていた2人が肩を並べて立ち、リロイは腰に下げていた剣を抜き、コハクは胸の中に手を突っ込んで真っ黒な長剣を取り出す。
ラスたちにかっこいいところを見せようと奮起していた。