魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
明らかにお姫様テイストなラスとティアラ。

そして明らかに腕利きの剣士だと思われるリロイと、それに…何やらどす黒いオーラを発しているコハク。

グラースに至っては妊婦だし、真っ黒づくめのフードを被って顔を上げないデスの魔王様御一行。


村人たちはコハクたちに解放されたことを喜びつつも、なんだか妙な組み合わせの一行をちらちら目の端で見ながらキャンプファイヤーを楽しんだ。

特に1番喜んでいたのはルゥで、あまりグリーンリバーから出たことがないので何度も火に近寄りすぎてコハクとラスから止められていた。


「コー、今日はここに泊めてもらうの?」


「や、俺らは俺らで野営だな。大丈夫!ちゃんと俺が結界張って魔物が近寄って来ねえようにしとくからさ」


「うん、わかった。またみんなで野営できるんだね!でもコー、グラースは妊婦さんだからテントを張ってあげたいな」


「チビだって妊婦さんじゃんか。まいっか、そうしてやるよ」


ラスの影に頂いた食料をどんどん詰め込んだコハクは、盛り上がっている村人たちに声もかけず名乗ることもなく、密かに招集をかけて村を後にする。

英雄扱いされるのは元々好きではないし、誉められて嬉しいのはラス限定。


「魔王、何も言わずに出て行っていいのか?」


「いいんじゃね?お前とボインは国王と王妃だし、俺は別に感謝されたくねえし。こんな色物御一行、気味悪いだろ」


コハクの言うことはごもっともなので、また馬車に乗ってしばらく揺られた後、開けた場所に着いて馬車を止めるとリロイとコハクがてきぱきとたき火のスペースを作った。

わくわく顔のラスはさっそくたき火の前に陣取って、隣に座ったコハクの腕に腕を絡めて火を見つめた。


「リロイたちが王様じゃなかったらまたみんなで旅ができるのにね」


「ある程度国が落ち着いたらできるんじゃね?あの人形置いてきゃいいだけだし」


「ほんとっ?わあ、リロイっ、また一緒に旅をしたりできるっ?」


できない、とは言わせないラスの笑顔にほとほと参ってしまったリロイが苦笑して頷く。


「うんそうだね、しばらくは無理だけど…」


「楽しみ!コー、楽しみだねっ」


弾ける笑顔に全員の頬が緩む。

相変わらずラスを大好きな魔王様御一行は、眠る時間を惜しんで前回の旅の話をネタに笑い声を弾けさせた。
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