魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
よもや雑魚寝を喜ぶ王女が居ようとは…。


ラスの場合は元王女だが、前回魔王城を目指した旅も極力野営を避けたかったコハクは、ぶつくさ文句を言いつつも、ラスの身体に負担がかからないようにと草の上に毛布を何重にも引いて寝床の準備をしていた。


「もうちょっと行ったらちゃんとした村があるってのに、なんで野営…」


「だってその方が楽しいもん。ルゥちゃんおいで、パパとママと一緒に寝よ」


「じゃあ僕は火の番と見張りをしておくよ」


「は?そんな必要……ああ、じゃあよろしく頼むぜ」


――前回の旅も、野営の時はコハクが密かに結界を張っていたので魔物が出ることはなかったが…

リロイいじめが大好きな魔王は、にやにやしながら横になってラスを抱き寄せる。

横になるとすぐに寝てしまうラスの瞳は早速うとうとし始めていたので、お休みのキスくらい…とラスの顎を取って上向かせると、勝手にキスをした。

…あちこちから視線を感じたが、1番すごかったのは…


「おいルゥ、なにガン見してんだよ。お前にもしてやろっか?」


「あー。うー、ぱー」


ぷにぷにの頬に音を立てて思いきりキスをするときゃっきゃと笑い声が上がり、リロイとティアラが頬を緩めて家族の光景を見つめる。

あんな風に家族が欲しいと願っているけれど、国を独り立ちさせることが最優先のリロイは、ティアラ用の寝床を整えてやりながら小さく笑った。


「魔王は子煩悩、か。僕もあいつに負けない位子煩悩になる自信があるんだけど」


「そんなこと最初から知ってるわ。私…あなたにそっくりの男の子が欲しい。きっとすごい勇者様になれると思うから」


「男の子?ルゥと歳が近かったら今の僕と魔王みたいな関係になるんじゃないかなあ。それはちょっと可哀そうな気が…」


「あなた魔王にいじめられてる自覚があったの?それは知らなかったわ」


「一応自覚はあったけど…あいつはああ見えて年寄だから悪知恵も性格の悪さも半端ないんだ。口で勝てるはずがないよ」


「今年寄りがどうとかって聞こえたんですけどー。お前明日の朝飯抜きにしてやんぞ」


抱き枕のようにしがみつかれて眠っているラスの金の髪を撫でてやるという愛情を見せつつも表情は底意地の悪さ全開。


コハクとリロイが睨み合っている時――

グラースは膝を抱えて座っているデスの隣に移動して、からかいまくっていた。
< 218 / 286 >

この作品をシェア

pagetop