魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
リロイやグラースたちが戻って来るまでの間、タオルで丁寧に髪を乾かしてやって何をすることもなくベッドに寝転んでいた。


腕の中にすっぽり収まりきるラスと指を絡めていると、互いの薬指に嵌めているガーネットのリングがかちんと音を立てる。

むにゃむにゃと欠伸をして目を擦っているラスがふと顔を上げると、急に頬をつねられてコハクが目を見開く。


「なんだよチビ。急につねるなんてひどいじゃんか」


「この町でもコーが女の人と何かしてたでしょ。思い出したらむかむかしてきちゃった」


ラスの機嫌が斜めになりかけたのを察知したコハクは、ラスが潰れない程度に強く抱きしめて弁解の嵐。


「あれはだって……俺が影の時にしてたことは全部ぜーんぶ過ちでした!だってさ…小僧がチビの回りをちょろちょろしてうざかったしさ…チビは俺の気持ちに全然気付いてくんなかったしさ……や、俺が全部悪いんだけど!すいませんでした!」


「コーはかっこいいからモテて当然だけど、私だけじゃなくて沢山の女の子を泣かせてきたんだよね。コーの馬鹿」


ラスに“馬鹿”と言われると無性にきゅんときてしまう色ぼけ魔王は、起き上がってラスのネグリジェを脱がせると、影の中から黄色のワンピースを取り出して膝を折ってラスの腹にキスをする。

前回の妊娠時はつわりが激しかったが今回は全くと言っていいほどなく、くすぐったくて笑い声を上げたラスを見上げて微笑んだ。


「泣かせてきたかもしんねえけど俺はチビのもんだし。チビだって俺以外の男に色目使ったら相手の男ぶっ殺してやっからな。いや…世界中の男を皆殺しにしてやる」


皆殺し宣言にラスがびっくりして大きな瞳を見開くと、せかせかとワンピースを着せてまずラスを抱っこして、さらにラスにすやすや眠っているルゥを抱っこさせて部屋を出たコハクは1階の談話室へ行ってリロイたちの帰りを待つ。


外には人だかりができていて町一丸で歓迎してくれている様を見たラスは、欠伸をして起きたルゥを窓辺に連れて行って皆にルゥを見せびらかしていた。


「さあて、次は狼野郎の居たとこか。その前にホワイトストーン王国に寄り道すっかな」


コハクの指先ひとつで崩壊させた王国。

当時は後悔などしていなかったが、今は――
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