魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
皆が談話室に集まると、それぞれの状況報告が始まった。


「魔王が塞いだ岩は無事だったよ。魔物の気配もなかったし…」


「あたりめえだろうがこのボケ、俺を誰だと思ってんだ」


「町の周辺にも魔物の気配はなかった。本当にこの町に魔物が出ていたのか?」


「うんそうなの。あのね、ここに着いた時霧がすごくて…」


説明下手なラスが一生懸命になってこの町に何が起きたのかを説明している姿に皆がでれっとなる。

膝に座っていたルゥもでれてにこにこしていたし、魔王はそれを上回る大でれ状態。

それぞれが一旦部屋に戻ってシャワーを浴びてひと休みした後、宿屋までデリバリーを頼んだ料理を談話室でつまみながら食べているだけで楽しくて、リラックスした空気が流れていた。


「そうか、そんなことが…。魔王、お手柄だな」


「あたぼうよ。ま、隕石くらいちょちょいのちょいだな」


「コー、魔法使いはみんな隕石を降らすことができたの?」


「んーや、隕石召喚とかは俺みたいな超天才の魔法使いじゃねえと無理だろうな。つまり人間じゃ俺しか使えねえってこと。どうだ、すごいだろ」


「うん、すごいすごい」


ラスに誉められて有頂天になったコハクが気分良くアルコール濃度の高い酒の入ったグラスを呷ると、ルゥも真似をするようにオレンジジュースを一気飲み。

その後はラスの隣に座っていたデスににじり寄ってまた骨の指をおしゃぶりし始めると、グラースがゆっくり腰を上げて2階を指した。


「私はそろそろ寝る。明日はどこに行くんだ?」


「明日はー…途中にホワイトストーン王国があるからそこに寄って、オオカミ野郎の居た村だな。お前も知ってるだろ」


グラースとはそこで出会った。

わかった、と言って2階に上がって行ったグラースを手を振って見送ったラスは、コハクの腕に抱き着いてわくわく顔を輝かせた。


「グラースとドラちゃんの赤ちゃんとルゥちゃん…仲良くなれるよね?」


「そだなー男だったらな。女だったら…超肉食でルゥが狙われるかもな」


「わあー楽しそうっ。ね、子供たちで旅とかできたらいいね」


夢を膨らませて楽しそうにしているラスの夢は、コハクたちにとっても楽しい。

そしてそれは夢ではないのだと十数年後、証明されることになる。
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