魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「ねえコー、次はどこに寄り道するの?」


「次はー、これ作った村じゃね?チビにアレが来て休憩した村ー」


旅の道中、ようやく生理が始まった。

発育が遅くまだ女らしくなかったラスの身体が丸くなってきだした頃で、魔王が最もわくわくどきどきして楽しむはずだった時期だ。

…だがそんな楽しみもリロイに奪われてしまったわけだが。


「ち、チビってさあ、いつ頃から…その…そんな身体になったんだ?」


「成長が始まったのは…コーが居なくなってから。毎日蜂蜜舐めてたし、コーの言うことちゃんと守ってたよ」


精霊界で2年間もの間眠りについていた頃、ラスは2年間もの間部屋に引きこもってほとんど出ることはなかった。

ラスの成長を見逃したのはカイやソフィーも同じで、リロイもそうだろう。

そこだけは本当に悔やまれるところで、しっかりラスを後ろ抱っこしつつ歯噛みしたコハクは、ラスの左手をとって薬指に嵌まっているガーネットのリングにキスをした。


「この石…大切にしてくれてたんだな」


「うん、当然でしょ?これくれた時すごくどきどきしたの。お嫁さんにしたいって言われて…すごくどきどきして…」


ラスが首をねじって見上げてくると、コハクはちゅっとキスをして見えてきた村を指した。


「ここでようやく意識してくれたんだよなー。大体チビは鈍感すぎる!や、そこがいいんだけど、ここまで来るのにほんっと苦労した!」


えへへと笑っているラスを抱っこして立ち上がったコハクは、馬車が止まるとそのままひらりと着地して、馬車から出てきたデスの腕からルゥを強奪してラスに抱っこさせた。


「懐かしいな…。グラースの歓迎会を開いた村だ」


「そうだな、それに宝石の産地じゃなかったか?」


リロイの呟きにグラースが返すと、デスはまた目深にフードを被り直してコハクの後ろをちょこちょこついて回る。

明らかに異様な集団なので悪目立ちして仕方なかったが、彼らはそれらに慣れているので気にすることがない。

のほほんと宿屋を目指して歩いていると、リロイがティアラから離れてこそりとコハクに声をかけた。


「その石…掘り出すのに苦労したか?」


「このリングのか?あー、まあな。…なんだお前も欲しいのか?なら手伝ってやるぜ」


魔王、にやり。

そしてラスも、にやり。
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