魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「ただいま……って待ちくたびれちゃったか…」


リロイが戻ってきたのは完全に陽が暮れた頃で、どうやら食事もラスたちを済ませてきたようだった。

ベッドで眠っているティアラの傍らに立ったリロイは、膝を折って白い頬にキスをした。

唇の感触に目が覚めたのか、ティアラがぼんやりしながら目を開けると、リロイはティアラの左手を握って微笑んだ。


「ごめんね、遅くなっちゃった」


「お帰りなさい…。どこに行ってたの…?魔王だけ先に戻ってきたからどうしたのかと思ったわ」


「ちょっと色々大変だったんだ。ちゃんと何をしてたか話すから、その前に……これを見て」


左手にずっと握りしめていた小さな白い箱をティアラに見せると、それが何なのか見当もついていないのかぼんやりと見つめてきた。

今まで大して贈り物らしいものをしてこなかったのでそうなるのも仕方ないと苦笑したリロイは、箱を開けて中身をティアラに見せた。


「!こ…これって…」


「ラスたちと同じものを作ってみたんだ。でも全部同じなのはやっぱりいやだから、プラチナじゃなくて金にしておいたよ」


ティアラの指のサイズは覚えていたので、まだぽかんとしている左手の薬指にそっとリングを嵌めると、ようやく実感がじわじわ出てきたのか美しい黒瞳が輝きを増してきた。


「これを私に…?!まさか原石を掘ってきたからそんなに汚れてるの!?」


「あ、やっぱり汚れてる?着く前に埃は落としてきたんだけどなあ」


「ありがとうリロイ!これすごく素敵…!綺麗で可愛くて……あ…でもあなたの分は?」


「あるよ。嵌めてくれる?」


今度は胸ポケットから同じ白い箱を取り出すと、それをさっと奪い取ったティアラが差し出してきたリロイの薬指にリングを嵌めてお互い顔の位置で見せ合う。


「魔王に怒られなかった?」


「ん、同じものを作りたいって言ったらにやついてた。腹が立ったけど君が喜ぶかなと思って…」


――出会った時から自分だけの勇者様になってくれたらと思い続けてきたリロイに泣かされたティアラは、リロイに抱き着いて喜びを爆発させた。


「本当にありがとうリロイ!お礼にあなたの身体を洗ってあげる」


「!ちょ、それはいいよ…。あ、ちょ…ティアラ!」


バスルームに引きずり込まれたリロイ、悲鳴。
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