魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
コハクが店の中へ入って来ると、すぐに気付いた店員が歓声を上げた。
股下の浅い細身の黒いパンツと編み込みのブーツと黒いシャツといった全身黒づくめのコハクだったが、顔は異常に赤い。
ラスが振り向くと、コハクは吸い寄せられるようにラスに近付いて、伸ばした手を引っ込めたりまた出したり忙しそうにしていた。
「コーだ、もうお仕事終わったの?」
「あ、ああ、まあ終わったんだけど…チビ…なんだよその格好は…。めっちゃ似合うじゃん。めっちゃ綺麗だ…」
「でも布地の面積が少な過ぎじゃない?ホックじゃなくて紐だし、すぐ解けちゃいそう」
「解くのは俺だけの特権。ここで解いてもいっか?」
胸の谷間から目を離せないコハクは、いつものようにラスを抱っこして思う存分胸の谷間に顔を埋めてキスをした。
店員からまた悲鳴のような歓声が上がり、ちょっと恥ずかしくなったラスはコハクの背中を叩いて降ろしてもらうと、後ずさりをしてコハクから離れた。
「なんだよ、もうちょっと触らせてくれよ」
「や、やだ、コーに襲われちゃう。もう着替えるから一緒に帰ろ。あのねコー、沢山お買い物しちゃったの。…怒る?」
ラスに逃げられて腰に手をあてて大きなため息をついていたコハクは、カートに山のように積み上げられた服を見て噴き出すと、喜ぶルゥを抱っこしてあやしながら頬を緩めた。
「別にいいんじゃね?あのキャリーバッグには入りそうにねえけど」
「あっ、そっか!じゃあ暑いとこか寒いとこかどっちかに絞らないと。コー、後で相談して決めようね」
試着室に入ったラスと会話を交わしているコハクは、ラス以上に近寄りがたい雰囲気を放っている。
瞳の色が赤いせいもあるのだが、まるで悪魔のように美しくて魅力的だ。
腰骨が見えそうで見えないそのセクシーさに参ってしまった店員たちがへなへなと座り込み始めた時、ようやくラスが試着室から出て来た。
「財布を置いて行くから、服は後で城まで運んでくれ。ほらチビ、帰ろうぜ。手を繋ぎたいなー」
「うん、わかった。コー、お買い物がすっごく楽しかったの。それでねっ」
口下手なりにどれだけ楽しかったかを一生懸命語っているラスと手を繋いで店を出ると、人垣がざっと割れた。
2人揃ってしまうと本当に近寄りがたく、だが本人たちは悠々と店を離れて肩を並べて家路に向かう。
――コハクは改めてラスに参ってしまい、恋を覚えたての少年のように隣を歩くラスをなんどもチラ見しては恋焦がれる吐息をついた。
股下の浅い細身の黒いパンツと編み込みのブーツと黒いシャツといった全身黒づくめのコハクだったが、顔は異常に赤い。
ラスが振り向くと、コハクは吸い寄せられるようにラスに近付いて、伸ばした手を引っ込めたりまた出したり忙しそうにしていた。
「コーだ、もうお仕事終わったの?」
「あ、ああ、まあ終わったんだけど…チビ…なんだよその格好は…。めっちゃ似合うじゃん。めっちゃ綺麗だ…」
「でも布地の面積が少な過ぎじゃない?ホックじゃなくて紐だし、すぐ解けちゃいそう」
「解くのは俺だけの特権。ここで解いてもいっか?」
胸の谷間から目を離せないコハクは、いつものようにラスを抱っこして思う存分胸の谷間に顔を埋めてキスをした。
店員からまた悲鳴のような歓声が上がり、ちょっと恥ずかしくなったラスはコハクの背中を叩いて降ろしてもらうと、後ずさりをしてコハクから離れた。
「なんだよ、もうちょっと触らせてくれよ」
「や、やだ、コーに襲われちゃう。もう着替えるから一緒に帰ろ。あのねコー、沢山お買い物しちゃったの。…怒る?」
ラスに逃げられて腰に手をあてて大きなため息をついていたコハクは、カートに山のように積み上げられた服を見て噴き出すと、喜ぶルゥを抱っこしてあやしながら頬を緩めた。
「別にいいんじゃね?あのキャリーバッグには入りそうにねえけど」
「あっ、そっか!じゃあ暑いとこか寒いとこかどっちかに絞らないと。コー、後で相談して決めようね」
試着室に入ったラスと会話を交わしているコハクは、ラス以上に近寄りがたい雰囲気を放っている。
瞳の色が赤いせいもあるのだが、まるで悪魔のように美しくて魅力的だ。
腰骨が見えそうで見えないそのセクシーさに参ってしまった店員たちがへなへなと座り込み始めた時、ようやくラスが試着室から出て来た。
「財布を置いて行くから、服は後で城まで運んでくれ。ほらチビ、帰ろうぜ。手を繋ぎたいなー」
「うん、わかった。コー、お買い物がすっごく楽しかったの。それでねっ」
口下手なりにどれだけ楽しかったかを一生懸命語っているラスと手を繋いで店を出ると、人垣がざっと割れた。
2人揃ってしまうと本当に近寄りがたく、だが本人たちは悠々と店を離れて肩を並べて家路に向かう。
――コハクは改めてラスに参ってしまい、恋を覚えたての少年のように隣を歩くラスをなんどもチラ見しては恋焦がれる吐息をついた。