金色のネコは海を泳ぐ
ルーチェは大きく息を吸って吐いた。

ジュストはもう、十分勉強をして……ちょっと間違ってはいるけれど、いろいろな知識を身につけて理解力もきちんとある。

今、ルーチェがきちんと説明したらわかるのだろう。

「あのね、ジュストの“好き”はユベール王子と貴方のお姉さんの間の“好き”とはちょっと違うの」

顔を上げてジュストを見ると、相変わらずつらそうな顔をしてルーチェを見つめている。

「ジュストは、人と関わるのは私が初めてだったんでしょ?だから、なんていうか……お母さんとか、お姉さんとかに対しての好きだと思うよ。ジュストの“好き”は家族への愛情だよ。だから、私とジュストは恋人じゃないし、ジュストは私の婿にはしてあげられない。キスも、しない」

言いながら、声が震えた気がした。ジュストの瞳も、悲しそうに揺れて……痛い。

「わからない……僕、アリーチェのことも、ルーチェのお母さんのことも好きだけど、ルーチェのことはもっと好きなの。これは、恋人の好きじゃないの?」

ルーチェは静かに首を横に振った。

ジュストはただ、ルーチェに懐いているだけ。“大好き”ではあるかもしれないけれど、きっと――

「嫌……」

ジュストがポツリと呟いて、ルーチェの腕を掴む手に力を込めた。

「ジュス――っ」

グッと引っ張られたかと思えば、ルーチェはジュストの胸に頬を押し付けられていた。
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