金色のネコは海を泳ぐ
「僕、ルーチェのこと抱き締めたいよ?キスもしたいよ?それでも、僕の好きは恋人じゃない?」
「違う、よ……ジュストはユベール王子とお姉さんみたいにしたいだけでしょ?」

その相手はルーチェじゃなくてもいい。いや、ルーチェであってはいけない。

ルーチェはジュストの胸に両手をついて押し返した。離れようと1歩後ろへ下がるけれど、それを追うようにジュストが1歩前へ進んで来て、距離がとれない。

「ジュスト、ダメ。離して」
「嫌だよ。ルーチェ、逃げないで?僕のこと、見て」

トン、と……壁に背中がついてジュストの身体と挟まれてしまい、ルーチェは息を呑んだ。

「ユベール兄様とサラ姉様みたいになりたいよ。でも、僕はルーチェと仲良くなりたい。ルーチェは、頭が良くて、努力家で、僕のこともいっぱい考えてくれてる」

ジュストの手が、ルーチェの髪をそっと梳いて耳にかけた。そのまま指先が耳の裏から首筋へと下がってくる。

「――っ」
「笑うとすごく可愛くて、小さくて、抱き締めたい。くっつきたい。僕、ルーチェに触りたいの」

ルーチェの心臓はもう壊れそうなくらいに脈打っていて、心なしか呼吸も苦しい。

こんな真っ直ぐに気持ちをぶつけられたのは初めてで、どうしたらいいかわからない。

本当に?

本当に、ジュストは……ルーチェを“好き”?
< 185 / 268 >

この作品をシェア

pagetop