金色のネコは海を泳ぐ
急いで部屋に入って鏡を確認すると、確かにジュストが触れた場所が赤くなっていた。

羞恥で真っ赤に染まった肌でもハッキリわかる。

“オトコの印”――ユベール王子は弟になんてことを教えたのだ。

ルーチェがユベール王子への怒りや恥ずかしさから来るドキドキに翻弄されていると、ジュストが部屋に入ってきて、後ろからルーチェのことを抱き締めた。

「ちょ――っ」

フッと、ジュストの息が耳にかかってルーチェは首を竦める。

「ジュ、ジュストっ、離して」
「嫌だよ。ルーチェ、離したら逃げるから」

ギュッとジュストの腕に力がこもる。その力強さに比例するようにルーチェの鼓動は速くなり、ルーチェの身体が熱を帯びていく。

「ルーチェは僕の。あのね、ルーチェ……僕、ルーチェを食べたい……」
「――っ」

そして、ルーチェの耳に爆弾(ササヤキ)を落としたジュスト。ルーチェは息が止まった。

「ぁ、う……っ」

口を開くのに、意味のある言葉が出てこない。

「ねぇ……いいでしょ?」

ジュストの唇がルーチェの耳に触れた。

「や……だ、め……」

その言葉は届いたのだろうか。掠れて、音になったかもよくわからなくて。

ジュストの唇はルーチェの耳たぶの感触を確かめるように動いて、そして――
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