金色のネコは海を泳ぐ
ガブッ

「イッ!?」

その瞬間の鏡を記録に収めたら、さぞ面白い絵になっただろう。

傍から見ればジュストに後ろから抱き締められている甘いシチュエーション。だが、ジュストはルーチェの耳に思いきり歯を立ててかぶりついていて、ルーチェの目はこれでもかというほど見開かれている。

か、噛んだ!?

“食べたい”って……

「バカジュスト!!」

ルーチェは素早く身体を反転させて思い切りジュストを突き飛ばした。ジュストは少しだけひるんで、ルーチェから腕を離す。

「ルーチェ?」
「もう!私は食べ物じゃない!!」

キョトンと首を傾げるジュストに怒りのボルテージが上がっていく。ルーチェの鼓動は今や痛みでドキドキを通り越してバクバクしている。

ジュストは本当に、思いきり噛んだのだ。

「どうして怒ってるの?」
「痛いからに決まってるでしょ!」

痛いのはもちろんだけれど、ドキドキを返して欲しい。

良く考えれば、ジュストが“食べる”という意味を知っている方が変ではないか。きっと、これもユベール王子に教えてもらったことを勘違いしているに違いない。

その被害に遭うルーチェの身にもなって欲しいものだ。
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