金色のネコは海を泳ぐ
「も……最低」

ルーチェは大きく息を吐いた。

視界がどんどん滲んでいくのは痛みのせいなのか、それとも――情けないからなのか。

ジュストの気持ちを信じそうになった自分が滑稽で、更にはジュストがやっぱりただ“教えられたこと”をルーチェで試しているだけなのだと思い知らされたようで悲しかった。

「ルーチェ、泣かないで」
「うっ……誰の、せいよぉ」

痛くて悔しくて……なぜか、“寂しい”もくっついて。

涙を拭っていると、その手を取られてジュストの腕に包まれた。頭をポンポンと撫でられる。

「痛かったの?僕、また間違った?」
「バ、カ……ジュストは、何もっ、わかってない」

痛かったに決まっている。でも、それだけではなくて……ジュストがどこまで本気で行動しているのかわからない。

気まぐれかもしれない、ただ周りの人の真似をしたいだけかもしれないと、わかっているのにドキドキしてしまうルーチェもルーチェだ。

ドキドキはただの戸惑いなのか。ルーチェだって自分の気持ちがわからないのに、ジュストにはもっとわからないだろう。

「ごめんね。僕、もっと勉強するよ。だから、泣かないで」

ルーチェはジュストのシャツをギュッと握った。

勉強して、すべてを理解して、ルーチェへの気持ちに気づく。そうすれば、ルーチェの心にも平穏が戻ってくる。

それは、ルーチェも望んでいたことだけれど。
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