金色のネコは海を泳ぐ
涙は意思に反して零れ続け、ジュストもずっとルーチェのことを優しく包み込んでくれていた。

しばらくして、ジュストはごそごそとポケットを探るような仕草をし、ルーチェの手を取った。

「ルーチェ、これあげるからもう泣かないでよ。僕、ルーチェが泣いてるのは嫌なの」

ジュストは「僕の右が、左」と何かブツブツと呟いて確認しながらルーチェの左手を持ち上げて薬指に指輪を嵌めた。

水色の綺麗なビーズを組み合わせて作ってある指輪は青い花が1つついていて、ルーチェのサイズにもピッタリだ。

「な、にこれ……?」
「指輪。婿が嫁にあげるのは、左手の薬指につけるんだよ。ルーチェのお母さんの指にもついてたから間違いないよ」

そういうことを聞いているわけではないのだけれど……

「お誕生日、おめでとう」
「へ……」

驚いて涙は止まったけれど、状況がうまく飲み込めない。

試験があってすっかり忘れていたが、確かに今日はルーチェの誕生日だ。だが、突然過ぎて……

「本当は、プレゼントはパーティのときに渡すんだって。でも、今あげる。ケーキもディナーも僕が用意したの。全部ルーチェにプレゼントしてあげる」

ジュストはニッコリ笑ってルーチェの頬を撫でた。

「僕、一生懸命作ったんだ。ルーチェ、お花好きでしょ?これ、難しかったんだよ」

ルーチェが泣き止んだのに満足したのか、ジュストはルーチェの手を握って引っ張った。
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