金色のネコは海を泳ぐ
「「「お誕生日おめでとう!」」」

ジュストに手を引かれてリビングへ入ると、家族皆にお祝いの言葉をかけられた。

去年は卒業試験に受かることに必死になっていてパーティはしなかったし、今年も中間試験があって忙しくて特に意識していなかった。

「あ、ありがとう……」

くすぐったくて、声が小さくなる。

「あらまぁ……プロポーズに感動でもしたの?」
「感動もいいけど、それにしたってひどい顔してるよ」

だが、ルーチェの泣き顔を見たブリジッタとアリーチェは的外れなことを言ってくる。グラートはなんだか複雑な顔をしているので、やはり誤解しているのだ。

確かに指輪はもらったが、プロポーズはされていないし承諾した覚えもない。それとも「婿になる」という断言はプロポーズにカウントされるのだろうか?

というより、すでにジュストはバラルディ家の婿という扱いだった気がするのでこの3人にとっては今更ではないのだろうか。

「ルーチェ、ケーキ食べようよ。あーんしてあげるから」

ジュストはジュストでウキウキしながらキッチンに入っていく。

なんだか本当にネコのような……掴めないオトコだ。

すぐに大きなケーキを持ってリビングへ戻ってきてテーブルの真ん中に置いた。

皆が席につくのに倣って、ルーチェも自分の席へと移動する。

ケーキはデコレーションがかなり細かく凝っていて、HAPPY BIRTHDAYの文字は少し不恰好だけれど、ケーキの上に乗っているルーチェとジュストらしきマジパン人形はとてもよく出来ている。

ケーキの周りの料理もどれも見栄えがよく、いい匂いが食欲をそそる。野菜のマリネは彩りも綺麗に盛り付けられ、チキンもいい具合に焼けている。ピザも手作りのようだし、ルーチェの好きなグラタンまである。
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