週末シンデレラ


「な、なにやってんの……っ。いい? 元気になってほしいから会うっていうのは、優しさじゃなくてヒドイことしてるんだよ? わたしなんて何回そういう経験に苦しんだか……」
「美穂、別れてからも前の彼氏と会ってたのって、そんな感じだったの?」
「そうよ。わたしがまだ未練あったから、お願いして会ってもらって。でも、結局自分の彼氏じゃないから辛くて……って、わたしの話はいいのよ。要は、どっちも辛いってことを言いたいの」

美穂の瞳は、心からわたしを心配してくれているようだった。

「うん……辛いってことはわかってるんだけど、どうしても……」

初めて感じた、誰かを「好き」だという気持ち。自分でも驚くぐらい、歯止めがきかない。

わたしの顔を見ていた美穂は、肩をすくめた。

「……詩織が、よく考えて決めたことなら、わたしは見守るけど。もし、なにかあったらいつでも相談してよ」
「美穂……っ、ありがとう」

わたしはいい友達に恵まれている。昨日から、それを実感するばかりだ。

しかし、ふたりでお茶をいれて事務室に戻ると……。

「ちょっと、加藤さん。手伝ってほしいんだけどー?」
「あっ、はい!」

どうやら、友達には恵まれているけれど、先輩には恵まれていないらしい。

わたしは美穂に小声で「まただよ」と愚痴をこぼしながら、武田さんのもとへと駆け寄った。


< 114 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop