週末シンデレラ


わたしが近づくと、車から淡い水色のシャツにカーキのカーゴパンツをはいた係長が出てきた。

もしかして、車の中から見られてた? 変な歩き方してなかったかなぁ……。

わたしは恥ずかしくなって、うつむき加減で挨拶をした。

「今日は、わざわざ迎えに来ていただいて……ありがとうございます」
「これくらい構わないよ。狭いけど、どうぞ」

そう言って、助手席のドアを開けてくれる。

係長は「狭い」と言って謙遜したけど、一般的なセダンのハイブリッド車だ。

座り心地はいいはずなのに、ひどく落ち着かない。隣の運転席に係長が乗り込むと、もっとそわそわした。

「カオリさんも、そういった格好をするんだな」
「え? ああ、パンツのことですか。はい、たまには」

といっても、このパンツは“カオリ用”に買っていたものだから、今日、初めて履いたけど。

「スカートのほうが、お好きですか?」

服装のことを言ってくるのは初めて。パンツスタイルはあまり好きじゃないのかもしれない。

たずねると、係長は車を発進させ、眼鏡のブリッジをグイと押し上げた。


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