週末シンデレラ


「これ……どうしたんですか?」
「カオリさんにもらってほしい」
「そんなっ」
「言っておくけど、もらえない、と言うのはナシだ。俺が持っていても気味が悪いし、これを見て、きみを思い出して悶々としたくない」

係長はおどけてみせる。

こんな風に冗談も言うのだと、また新たな一面を知って嬉しくなる。

「悶々としたら困るので……では、有り難くいただきます」

わたしはもらったぬいぐるみをギュッと抱き締めた。

駐車場まで戻ると、もう閉館時間だからか、車は少なくなっていた。

「ぬいぐるみは、後ろに置いたらいい」

買ってもらったぬいぐるみを抱えたまま、助手席のドアを開けていると、係長が言ってくれた。

「はい、ありがとうございます」

お言葉に甘えて、後部座席に置かせてもらおうとドアを開けると、座席には一冊の雑誌が置いてあった。

ちょっと、失礼して動かしちゃおう……ん?

雑誌の上にぬいぐるみを置くわけにもいかないと思い、それを手に取ると表紙が見えた。

タイトルには『デートスポット百選』と書かれている。


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