週末シンデレラ
店内は入り口近くの席が堀りごたつ式となっていて、奥のほうに個室があるらしい。
店員と係長に続いて歩いていると、掘りごたつの席では合コンが開かれていた。
「わたしは総務課で働いているんですけどぉ」
合コンの騒がしい声の中に、聞き覚えのある鼻にかかった声が聞こえてくる。だけど、ジロジロ見るわけにはいかず、わたしは奥のほうへと足を進めた。
出てくる料理はどれも綺麗に盛りつけられていて、新鮮なお魚と野菜がとても美味しかった。
食べ終えると、帰り道はドライブがてらに少し遠回りをしてくれた。
家族や友達と一緒に見たことがある夜景も、係長の隣で見るといつもより輝いて見える。
「今日はありがとうございました。また、お礼ができないままで……」
家の近くに車を止めてもらい、頭を下げる。思っていた通り、ご飯代もすべて係長が出してくれた。
「お礼はべつにいいんだけど……それを断ってしまうと、もう会ってくれない気がするな」
外からの明かりに照らされた係長の顔は、切なげに見えた。
「そういうわけでは……」
「ああ。そういうわけで、あってほしくない」
わたしの語尾を奪い取るように強く言う。