週末シンデレラ
「きみと似ている」
「ペンギンに引き続き……またですか」
「ああ、そういえばそうだな。これから、かわいいものを見ると、すべてきみに見えてしまいそうだ」
係長は苦笑すると、それをふたつ買った。
いつもなら嬉しく感じる言葉に、胸がキツク締めつけられる。甘いはずのカスタードまんは、口の中で苦く崩れていった。
中華街から離れると、街中へ出てブラブラと歩き、海が見えるレストランでご飯を食べることとなった。
「そういえば最近、きみの上司の話を聞かないけど、どうなった?」
係長はナイフとフォークで牛肉を切り分けながら、何気なく聞いてくる。
「え、上司ですか……?」
「俺と似ていると言っていた上司だよ。前に、優しくしてくれたって言っていただろ?」
「あ、あぁ……はい。今は随分と性格が丸くなっていて、この前も優しい言葉をかけてもらって……泣きそうなほど、嬉しくなりました」
わたしの正体を話せば、この上司のことは、自分のことだったと気づくだろう。
最初に散々な言い方したから、それはちょっと怖いかも……。
些細なことで係長に話すかどうか、心は揺れるけれど、何度も悩んだ末に話すと決めた。その決意は固い。
どうか、係長が受け止めてくれますように。
そればかりを願って、料理を口へ運んだ。