週末シンデレラ
わたしが悩んでいた間、係長もずっとドキドキしていたはず……。だから、今日こそ話そう。でも、いつ話したらいいかな……別れ際のほうがいいかな。
タイミングを見計らっていると、頬にポツリと冷たいものが落ちてきた。
「……雨?」
「本当だ。まずいな、駐車場まで少し距離がある。どこかコンビニで傘を……」
「これくらいなら傘は大丈夫です! 走りましょうっ」
「え、ちょっと……カオリさんっ」
小雨なら駐車場へたどり着くまで、あまり濡れないと思う。わたしが駆けだすと、係長もすぐあとを追いかけてきた。
だけど、雨はしだいに激しくなり、駐車場へ着くころにはふたりともびしょ濡れになっていた。
持っていたミニハンカチじゃ、濡れた身体を拭ききれない。
「すみません、わたしが走ろうって言ったばかりに……」
自分が濡れるのは構わないと思ったけど、それによって車の座席が濡れてしまうことを考えていなかった。
「いや、気にしなくていいから。それより、風邪を引いたら大変だ。カオリさんのマンションより、俺のほうが近いから寄っていかないか?」
「で、でも、そんな迷惑を……」
「迷惑じゃないから。あと、やましいことも……考えていないから」
係長はわずかに頬を赤らめると、車を発進させた。