週末シンデレラ
「しかも、座り込んだあと頭を抱えだして……調子が悪いのかと思って、声をかけようとしたら、急にシャキッと立ち上がって歩き出すし……わけわかんないよ。ねぇ、係長となにかあったの?」
美穂が心配そうに見つめてくる。わたしは小さくうなずくと、肩をすくめた。
「じつは……ついに正体がバレちゃって」
「えぇっ!? バレた、っていうことは……話した、っていうことじゃないんだよね?」
「うん、雨に濡れてメイクが取れて、ウイッグもずれて……それで、バレちゃった」
「なんて、間抜けなバレ方……」
美穂は呆れたように息をついて、うなだれてしまった。
たしかに言葉にすると間抜けだけど、キスなんていうロマンチックなこともあった。
……恥ずかしくて、まだ誰にも言えてないけど。
「それで、係長はショックを受けて、今日は変なんだ」
美穂は顔をあげると、納得がいったようにご飯を食べだした。
「うーん……ショックもあったと思うけど、それよりかなり怒っちゃって。もう、わたしの話も聞いてくれなくて……」
わたしも美穂に習って箸を持ってみるけど、おかずであるチキン南蛮をつつくだけに終わった。