週末シンデレラ


係長が照れてる? どう見ても怒っているように思えるんだけど……。

そう思いながら恐る恐る係長を見る。すると、あることに気づいた。

「耳……赤い」
「あ、赤くないっ」
「でも、ご自身ではわからないかと……」
「もっ、もし赤いなら……酒のせいだ」

いたって冷静を装っているけれど、耳だけは赤くなっていた。

気づかれたのが恥ずかしかったのか、係長はわたしから顔を背けて耳をおさえる。

思わずクスリと笑ってしまった。

……か、かわいい……かも。……い、いやいやいや、ありえないからっ。都筑係長に対してかわいいなんてありえないってば!

自分の中に生まれた感情に戸惑い、すぐさま否定する。

「ほら、征一郎。酒のせいにしたいなら、もっと飲まなきゃいけないだろ」
「うるさいっ」

係長はさきほどよりももっと耳を赤くして、一也さんから勧められるがままビールを次々に飲み干していった。

それからは和やかな雰囲気で食事をし、わたしは正体がバレることなく、二時間を終えたのだった。


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