聴かせて、天辺の青
さて、海斗には何て訊ねたらいいんだろう。
私の悩みなんて放ったらかしで、彼は悠長にメニューを広げている。何か食べたいのなら、さっさと頼んだらいいじゃない。腹立たしさを込めて、思いきり大きな溜め息を吐き出す。
彼が顔を上げた。
もちろん、聴こえたのだろう。
聴こえるように吐いたのだから。
きょとんとした顔に笑みが浮かぶ。
「とりあえず、コーヒーでも飲もうか?」
言いたいことだけ言って、後のことを何にも考えてないみたいな顔。私が悩んでることぐらいわかってるくせに。
だけど、こんな風に彼が笑ったのを見たのは初めてかもしれない。
今までは何かが引っ掛かってるものを隠すような、いかにも作られた笑顔しか見せなかったのに。
どういうつもりで笑ったのか知らないけど、普通に笑えるんじゃない。
呆気に取られてるうちに彼は注文を済ませて、ドリンクコーナーでコーヒーを淹れて戻ってきた。
「はい、砂糖とミルクは? ここに置いておく。飲み放題みたいだから、テキトーにおかわりしなよ」
私の目の前に置かれたカップから、ふわりと香りが溢れてくる。