本音は君が寝てから


「ごめん、あの。出掛けにバタバタして」

「いいんです。無理言ってるのこっちですから」


どこまでも恐縮する森宮さんを一瞥して、相本が俺に冷たい視線を投げかけた。


「香坂さん、連絡ぐらいすればいいのに」

「いいんです、相本さん。電話できないくらい忙しかったんですよきっと。ね?」


何故相本に責められ、彼女が俺のフォローをしてくれるんだろう。
二人の立場が逆に思えるのは俺だけだろうか。


「とにかく、悪かった」


今更言い訳を続けるのもなんなので、ただただ平謝りする。
彼女は隣の椅子を指差して俺の座るように言った。


「大丈夫です。相本さんに美味しいサンドイッチも作っていただいたし」

「香坂さんの分も作ったんだけど、もう冷めたよ。新しいの作ろうか」

「いいよ。それくれ。お前のサンドはうまい」


とりあえず、相本が彼女の相手をいていてくれたのは間違い無さそうだ。
俺は感謝を込めて相本を見る。すると奴はぎょっとした顔で俺を見返した。


「なんすか。気持ち悪い顔して」


失礼なやつだ。
俺は憮然とした顔で、カウンターの彼女の隣に腰掛ける。

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