幻影都市の亡霊
「こっちこそ、あんなこと言って……」
「いや、お前の言ったことは正しい。所詮、俺には無理なのかもしれないなぁ、王を導くなんて……でも、ウェイン、ちゃんと町を戻すのには協力する。そうしたら……帰るから、安心してくれよ」
「……」
ウェインは、どこかむっとした。はぐらかされているようにしか思えなかった。
「……おい若造、それはあんまりだろう」
セレコスが、咎めるように言った。それには怒気さえ含まれているように思えた。
「お前は何も説明していない。正直戸惑ってるだろうが。こいつは自分の置かれている状況さえ、何も知らないんだ。そして、見ず知らずのお前しか頼れる奴はいない。普通、ついてきてくれると思うか?
こいつはお前についてきてくれたんだ。どういう意味だかわかるか? お前を信用したんだ。お前に、託したんだ、自分の未来を。
これから、自分ではどうにもならないことは、わかっただろう。そこで突然現れた亡霊が、お前は王になる者だからついて来い、そんなこと言ったって、誰が信用してくれる? こいつの器は確かに輝いていない。このままじゃ到底王になんかなれない。だがな、人を信じる心を失っていないんだぞ?
俺には想像できる。ウィンレオから任されたからな。こいつはユアファの息子としてしか見てもらってこなかったはずだ。そのことで、自分の存在を疑って、こんなに凝り固まった存在になっちまってる。それを、お前は一度でも導くと言ったんだろう。自分のことさえ伝えないでどうするっ!
暗闇の中ついてきたこいつを裏切るような真似するんじゃないっ! さっき確かに見えたぞ! こいつの光の片鱗がっ! 王を捨てるのかっ!」
「いや、お前の言ったことは正しい。所詮、俺には無理なのかもしれないなぁ、王を導くなんて……でも、ウェイン、ちゃんと町を戻すのには協力する。そうしたら……帰るから、安心してくれよ」
「……」
ウェインは、どこかむっとした。はぐらかされているようにしか思えなかった。
「……おい若造、それはあんまりだろう」
セレコスが、咎めるように言った。それには怒気さえ含まれているように思えた。
「お前は何も説明していない。正直戸惑ってるだろうが。こいつは自分の置かれている状況さえ、何も知らないんだ。そして、見ず知らずのお前しか頼れる奴はいない。普通、ついてきてくれると思うか?
こいつはお前についてきてくれたんだ。どういう意味だかわかるか? お前を信用したんだ。お前に、託したんだ、自分の未来を。
これから、自分ではどうにもならないことは、わかっただろう。そこで突然現れた亡霊が、お前は王になる者だからついて来い、そんなこと言ったって、誰が信用してくれる? こいつの器は確かに輝いていない。このままじゃ到底王になんかなれない。だがな、人を信じる心を失っていないんだぞ?
俺には想像できる。ウィンレオから任されたからな。こいつはユアファの息子としてしか見てもらってこなかったはずだ。そのことで、自分の存在を疑って、こんなに凝り固まった存在になっちまってる。それを、お前は一度でも導くと言ったんだろう。自分のことさえ伝えないでどうするっ!
暗闇の中ついてきたこいつを裏切るような真似するんじゃないっ! さっき確かに見えたぞ! こいつの光の片鱗がっ! 王を捨てるのかっ!」