いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「姉ちゃん、やっぱり俺が椅子で寝るよ」

「駄目!ふゆちゃんは安静にしてなきゃ、私がこっちでいいの」

寝台から身を下ろし掛けた風弓を、晴海は必死で静止した。

「でも…姉ちゃんを長椅子で寝させるのは悪いし」

「私が急に押し掛けたのが悪いんだから、気にしないで。看護師さんから毛布も借りたし、大丈夫」

「気にするよ…」

風弓は顔を顰めたまま、小さく首を振った。

このままでは引き下がりそうにない。

「…じゃあ、私もそっちで一緒に寝る?」

「!」

「駄目なら私、こっちで寝るけど…」

そう言えば諦めてくれるかと思い訊ねると、風弓は暫くの間困った様子で頭を掻いたり首を傾げたりしてから、独り言のようにぼそりと小さく呟いた。

「まあ、狭いだろうけど…椅子で寝るよりかは広いしいいかな」

「えっ」

まさかそちらを選択するとは予想外で声を上げると、風弓もはたと気が付いたように静止した。

「あ…ああ、ごめん。やっぱおかしいよな、姉弟って言ったってもう小さい子供でもないんだし」

そう言えば――子供の頃はいつも風弓と一緒に眠っていた。

生まれてからずっと、風弓が隣に眠っていなかった日なんてなかった。
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