いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「――姉ちゃん」

だが暫しの沈黙の後、ふと風弓から声を掛けられる。

「…何?」

「早く、陸と仲直りしなよ。もし一人で逢うのがつらいなら、俺も傍にいるから」

「……ありがと」

やはり突然此処を訪れた理由は、話さずとも見透かされていたか。

咄嗟に此処へ逃げてきてしまったが、これからどうすればいいのか解らない。

自分が何一つ不自由もなく春雷にいられるのは、陸と関わりがあるからこそだ。

風弓が入院していられるのも、京がすぐに手続きを取ってくれたお陰。

この春雷に於いて、自分たちは霊奈の庇護なしではいられない癖に身勝手なことをしてしまった。

――陸は、自分が邸を飛び出してきてしまったことをどう思っているのだろう。

怒っている?

嫌われて、いないだろうか。

陸があんなに怒ったのは、香也が現れたこときちんと話さなかった自分のせいだ。

香也には邸から連れ去られた上にその言動に戸惑わされた前例があるにも関わらず、陸の言った通り警戒心がなさすぎた。

――以前の陸と、違うから。

陸は今、忙しいから――

そうやって、勝手に陸と自分との間に距離を置いていたかも知れない。
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