いとしいこどもたちに祝福を【後編】
――外から小鳥の囀(さえ)ずる声が聞こえてきて、いつの間にか眠りに落ちていた晴海はゆるゆると瞼を持ち上げる。

まだ陽は昇ったばかりで、院内はまだ早朝の静寂に包まれていた。

視線の少し先には、見知った弟の寝顔がある。

平時の顔立ちは充に良く似てきたが、眠っているときの表情は幼い頃と変わらない。

そんなことを考えながらじっと見つめていると、ふと風弓の睫毛が揺れた。

開かれた薄氷色の双眸が、ぼんやりとこちらを見つめ返す。

「おはよ、ふゆちゃん」

「…ん。はよ…」

声をかけると、風弓は気だるそうな様子で小さく返答した。

「早いな、姉ちゃん」

「たまたまだよ。ふゆちゃんのほうが昔から早起きだったじゃない」

仄をして『寝てるときと食べてるときしか大人しくない』と言わしめた風弓だ。

いつも元気良く起き出して、其処ら中を跳ねたり走り回ったりしていた。

「…今は思い通りに走り回れないな」

晴海の思考を察してか当時を懐古してか、ぽつんと風弓が呟いた。

「大丈夫、ふゆちゃんならまた出来るようになるよ」

「うん…俺は、あの母ちゃんの息子だからな。大丈夫」

茶化したような口調で風弓が小さく笑みを零したので、晴海はつられて笑い返した。
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