いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「決まってるじゃないか、秋雨にだよ。僕の春雷での用事も済んだことだしね」

「え…え?」

意味が解らない。

何故、自分が真都と一緒に行かなければならないのか。

「あの、真都さんもご存知でしょう?私は貴方の望むような身分もないし、それに…」

「陸、だろう?それなら心配ないさ。あいつなら今頃、各国の令嬢たちと見合いの最中だよ。婚姻を前提とした、ね」

「…!!」

ずしん、とまるで胃に重石(おもし)が掛かったかのように衝撃が走る。

真都は勝ち誇ったように笑みを浮かべると、少しずつこちらへ歩み寄ってきた。

「君は今日、見合いがあることを何も知らされてなかったんだろ?これではっきりしたじゃないか、陸は君を、選ぶつもりはないってことだよ」

陸が――誰か別のひとと――結婚する?

嫌。

そんなの、嫌だ。

左手首に填められた、真珠の腕輪を思わず握り締める。

「君が大切なら、僕だったら他の女との見合いの席なんかに出たりしない。陸は君を捨てたんだよ」

違う――陸は十年前の約束をもう一度したいと言ってくれた。

自分は、陸から告げられた言葉だけを信じればいい。

「ちがう、違う…!陸はっ…」
< 166 / 331 >

この作品をシェア

pagetop