いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「じゃあ何故、あいつはすぐ君を迎えに来ないんだい?」

「それは…」

「いつまでもあいつのことなんか考えてないで、僕のものになればいい。そうすれば楽になれるよ。実は僕も、君が気に入ってね…」

ふと気付けば、真都の顔が間近に迫っていた。

「っいや…!!」

真都を突き飛ばすと、晴海はすぐ傍の角へと逃げ込んだ。

だが、其処は流し場になっており行き止まりだった。

「…!」

「今日は逃がさないよ。助けを呼んでも無駄だ。この国の領主の親族である僕に逆らえる人間なんて、此処には居やしない」

迫り来る真都に、右腕を強引に捕まれる。

「はなしてっ…私は秋雨になんて行きたくない…!!」

「――姉ちゃんに触るな!!」

突如割って入った叫び声を背に受け、真都は勢い良く振り返った。

そして、手摺に掴まって立つのがやっとの風弓の姿を認めると、くすりと憐れむような笑みを零した。

「この子の片割れか。君の無礼な振る舞いは姉さんに免じて許してあげるよ」

「うるせえ!!んなことどうだっていいからさっさと姉ちゃんから離れろ!!」

風弓は刺すような視線を真都にぶつけたが、その身体は均衡を失って一瞬ぐらりと揺れた。

「ふゆちゃん!!」
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