いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「香也、よせっ…!」

そのただならぬ様子に陸が慌てて制止するよりも一瞬速く、香也は床に散らばっていた瓦礫の破片の一つを真都目掛けて放った。

「ひっ…!!」

無数の石礫(いしつぶて)は偶然か否か、真都の頬を僅かにだけ掠めて、壁にめり込み罅(ひび)を走らせた。

「…ふん、冗談だよ。いいとこの御子息様に怪我なんかさせたら、後が面倒だからな」

香也はそう言っていつもの表情に立ち戻ると、こちらに向かってひらりと手を振って見せた。

「――そうだね、後は僕に任せて貰えるかい?香也くん、だったかな」

「!兄さん」

涼しげな笑顔を浮かべて現れた京に、真都は安堵して縋り付くような視線を向ける。

「っ京兄様!!」

「はん、霊奈の跡取り様までご登場か。騒ぎが随分でかくなっちまったな」

「陸、此処はお前に任せたよ。…真都、君はちょっと向こうで僕と話をしようか」

だが京の笑顔の裏側に、香也とは別の殺気を感じてか真都は表情を凍り付かせた。

「にっ…兄様…?」

京は笑顔のまま真都の腕を引いて軽々と立ち上がらせると、半ば引き摺るように真都をその場から連行した。

真都は助けを求めるように部下の顔を見つめていたが、部下も京が相手では手出しが出来ない様子だった。

(ご愁傷様だな、同情はしないぜ)

まだ痛む後頭部を擦りながら、風弓は一触即発といった雰囲気を漂わせる陸と香也に視線を移す。
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